ひずみやゆがみがなぜよくないのか、どのくらいよくないのか、正直言ってピンとこない。操体法で動いてみて、目に見えるかたちで動きに差が出ることを知り、動きにともなう感覚のちがいがあることを知ってはじめてこういうのがひずみやゆがみのもたらす影響なのかと納得できることもある。
動きの差があるということ、感覚にもちがいがあるとがわかれば、あとはカンタンである。ひずみやゆがみを取りたかったら動きの左右の差を少なくしてゆき、左右の動きにともなう感覚のちがいをなくしていけばいい。

前回は背中を床につけた上向きで左右の差を知る方法だったが、今回はお腹のほうを床につけてうつ伏せで行う方法。動きは同じようなものになるが、重力のかかる向きが変わるため、上向きで行ったときとうつ伏せで行うときとでは違う結果になることが多い。動きに関わる筋肉の状況も変わるため、上向きとうつ伏せの両方をやっておくのが理想的。

1.うつ伏せになり、足の裏が天井を向くようヒザを曲げる。

支えてくれる人がいる場合は、足が勝手に倒れないよう、足先に軽く手を添えてもらうか、足首を軽く持っておいてもらう。

2.両方の足を、体の中央から右のほうへ倒そうとする。

顔の向きは、まっすぐにするか、左に向ける(右のほほを床につける)。
足が中央でじっとしているときは体全体が両足を支えているだけの状態だが、足を右に倒そうとして実際に少し倒していくと、関連する筋肉や関節に力が伝わり、いろんな感覚を感じ取ることがきる。
筋肉や関節に力をゆっくり伝えていく感じで、動作のすべてはゆっくりスムーズに行うようにする。

3.両方の足を、体の中央から左のほうへ倒そうとする。

顔の向きは、まっすぐにするか、右に向ける(左のほほを床につける)。
あとの要領は2.と同じ。

腰の筋肉を硬くしている場合は、うつ伏せになるのが苦しいとか、ヒザを曲げるだけで腰に負担がくるということもあります。
先に、前回の上向きで行うほうを行って腰の筋肉をゆるめてから行うことをお勧めします。

違和感や痛みを感じるときは、感じない程度に加減してそっとやることもできます。もちろん無理と思ったら中止してください。ヒザの曲げる角度をほとんどなくし、「曲げようかな」と思うくらいで3~5秒保持してドタッと脱力して2呼吸分ほど休むということを数回やってうまくゆるむ場合があります。
両ヒザをそっと曲げようとし、浅い角度で動きを止め3秒保持してドタッと床に落とす。
これを数回やるだけでも腰の筋肉はゆるむことを確認してみてください。

自分では足を倒しているつもりでも、右足と左足の両方に均等に力が伝わっているとは限りません。
支える人がいてくれると、よくわかります。自分では力を入れているつもりなのに、「こっちの足は手ごたえがないね、ほら」と添えた手で軽く押してもらうと、自分でも「あれ、ほんとだ。おかしいなあ」ということになります。右へ倒すときには、右足が外側へ、左足は内側へ倒す動きになるのですが、どっちの足がどちらの方へ行きやすく、どっちの足がどちらの方へ行きにくくなっているか、確認できると思います。左へ倒すときは、左足が外側へ、右足は内側へ倒す動きになりますが、これも自分のどちらの足がどちらの方へ倒れやすくなっていてどちらの方へは倒れにくくなっているということを知ることができます。

左右の差を修正する方法は気持ちよくできる動きをゆっくりと数回行うことです。ゆっくりと動き、3秒ほど保持した後に一気に脱力してしばらく休むというものです。「操体法の実際について」に保存してある記事で「操体法でやってみる-3つの基本動作①-」のほうにまとめてありますので関心のある方は参照してください。